オーブ的薄毛対策カットの真髄

「今、伸ばしてて　でも後ろとか横が

　モシャモシャしてて膨らんで・・この辺を切ってもらって

　スッキリさせたいんです」

そういうゲストの頭頂部を見れば・・・・

今日のブログは、写真無しです。

そう、冒頭のオーダーを言うゲストの頭頂部は

「薄毛」

薄毛の方あるあるって言っても過言ではない

「切りたがらない」

「伸ばしたがる」

えぇ男性だから気持ちは分かります。

でもね　オーブはこういう店です・・・

「なるほど、わかりました。

　確かにこのあたりモワモワしてるもんね。

　・・・で　伸ばしてやりたい髪型、ゴールは

　何かあるの？？」

「・・えっ？・・・」

「ん～例えばさ　俺みたいに、結ぶようにしたいとか」

「後ろに流したいです（手で髪を撫でつける仕草）」

「なるほど　サイドも流すのね」

「はい　でも横がどうしても膨らんじゃって・・」

「えっとね・・・はっきり言っていい？？」

「はい・・」

「横が膨らむのもそうなんだけど

　頭頂部が薄いから　余計にそう見えるんだよ」

「・・・・」

「ぶっちゃけさ　頭頂部　薄毛じゃん？

　これで　伸ばしてさ　グリースで撫でつけて

　髪結んで　革ジャン着て　ハーレー乗って

　バーボン飲むなら　髭も生やして

　そういう方向に行くなら　いるじゃない？

　そういう人。だから薄毛で伸ばすことが

　良くないとか　変とか　間違いではないけど

　それには　そういう「カルチャー」とか

　そういう属性のトコにいればOKなんだけど

　多分そういう人じゃないよね？」

「はい・・・」

「であるなら　これで伸ばしていっても

　行きつくとこは『落ち武者』じゃん。」

「はぁ・・」

「いや　それさえ『狙い』であるなら良いんだけど

　否定はしないけど　狙ってないよね？」

「清潔感が欲しいです・・」

「清潔感・・・落ち武者に感じる？」

「・・・ないです・・・」

「でしょ？？では、何で伸ばしたいの？」

「・・今までショートスタイルで来てて

　髪がこの状態じゃないですか？

　最後に伸ばしておこうかと・・」

「ん～～～～～遅い！(笑)

　ハッキリ言ってゴメンね。

　こんなこと言う理容師・美容師いなかったでしょ？」

「はい」

「みんな　ハイハイって切って・・」

「なんかシックリこなくて・・・」

「だよね、言う通り切ってりゃ問題ないって

　思ってる奴ら多いから(笑)

　でね、どんなに硬くて太いものの

　長さが出れば　しなって重力に影響されて

　寝ようとするじゃない？

　この頭頂部の髪には　まだ実は十分フンワリや

　立ち上がりや　形を作るチカラがあるよ。

　切り込めば大丈夫」

「じゃぁ　お任せします

　切ってください！

　良かった・・スッキリしました！言ってもらえて」

・・・・こんなやり取りをした後

ゲストは目をつぶって

「終わるまで　目を開けません。

　楽しみにしておきます！！」

このやり取りに　「キッついな～、この店」って

思う方もいると思います。

凄く繊細で　凄く心の機微に関わる話ですもんね。

でも　唯々諾々　言うこと聞いてるだけが

俺たちの仕事じゃないし　

たとえ主観だって言われようとも

僕はそこは譲らない。

目をつぶるゲストに　切りながら説明は続く

「頭頂部　ハサミで切ったでしょ？

　で、今はカミソリで削ぐように切ってるでしょ？

　これも意味があって　頭頂部の髪は伸びても

　毛先が細くなっていってしまうでしょ？

　でもサイドや後ろの髪は普通に生えてくる

　そうするとその差異が余計に　

　薄い部分と濃い部分を際立たせちゃうの。

　だから細い髪はハサミでしっかり切ることで

　切り口をはっきりさせて　濃く見せる

　濃い部分の髪は　切り口を曖昧にして　細くして

　伸びてきた時　頭頂部の髪に馴染むように細工しておく

　そうすると　伸びていく周りと　伸びにくい頭頂部の

　質感がズレない。

　これも大切な　薄毛対策カットの考え方なんだよね」

とかく　ヘアスタイルに重きを置かれるけど

昨日のブログ・・click

でも書いたように「切り口」って　そのスタイルの

「印象」

に大きくかかわるの。

特に薄毛は　髪の質感が頭頂部と周りで違いが大きいから

その差を狭くしておかないと　余計濃いとこは濃く

薄いとこは薄く見えちゃうの。

で

いろんな話をして　すべてが終わり

「整髪料もね　ワックスとかあまり

　髪をまとめる力が有るものだと

　それも地肌を透けて目立たせるから　

　スプレーワックス・・それもドライな質感のを

　吹きかけてあげればOKだから」

と言って　シュ～ってして

ゲストさんは　目を開けて・・・

笑顔。

この瞬間のため生きてるよな～

触らぬ神に祟りなし・・・

触らぬ髪にも祟りなし・・・

でも　触って噛みつかれても

自分の中にいる　髪の神　に噛みつかれるような

お茶お濁すような仕事はいたくない

そのオーダーに　簡単に「はい」って答える事が

正しいとは思えない。

もちろん言い方はいろいろあるけどね💦